「詩ってなんだろう」(谷川俊太郎)

詩の味わい方にルールなんてない!

「詩ってなんだろう」(谷川俊太郎)ちくま文庫

以前も書きました。
中学生が書店で
詩集を手にしてレジへ向かう。
あり得ない光景です。
詩集こそ、
私たち読書経験の豊富な大人が、
「これ読んでみろよ」と子どもたちに
薦めるべき分野であると
確信しています。

これまでも
中学生の詩の入り口として、
新川和江、金子みすゞ、
工藤直子、
阪田寛夫、まど・みちおの詩集を
取り上げてきました。
それでもまだ
「敷居が高い」と感じる場合は、
本書こそが正真正銘、
詩の味わい方の入門書です。
著者は谷川俊太郎。
いつぞや
「読んでも癒やされない詩集」の
作家として紹介しました。
でも大丈夫です。
本人の詩は入ってません。
本書は
谷川俊太郎の作品集ではなく、
日本のいろいろな詩を集め、
谷川俊太郎が解説を行った
詩集なのです。

読んでみればわかります。
本当にいろいろな詩が
収められています。
「いないいないばあ」から
堀口大学まで、
いろはうた、ことわざ、
なぞなぞ、しりとり、
アクロスティック、
俳句、短歌、賛美歌に至るまで、
何でもござれです。
「そうか、これも詩なんだ」
「あれも詩だったんだ」と
気付かせてくれます。
楽しくなること請け合いです。

そうなのです。
難しく考えることはなかったのです。
自分が書いて「これが詩だ!」といえば
それが詩になるのですから、
味わい方だって
様々あっていいはずです。
ルールはありません。
自分が受け取ったとおりで
いいのです。

 一人の心に灯をともす
 別の一人に欠伸(あくび)をさせる

 (堀口大学)

そして私たちの身のまわりには、
こんなにも詩があったのです。

 いろはにほへとちりぬるを
 わかよたれそつねならむ
 うゐのおくやまけふこえて
 あさきゆめみしゑいもせすん

 (いろはうた)

日本は詩に溢れた国だったということを
しみじみと感じさせてくれます。
そんな日本に生を受けて、
詩を味わわないなんて、
もったいない。

本書から詩集に触れれば、
間違いなく詩が好きになります。
そう断言していい一冊です。
中学校1年生、いやいや、
小学生にだってお薦めです。

(2018.12.21)

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